特装車事業プロジェクト

特装車事業プロジェクト

イノベーションを起こす革新的な脱着ボデー車を生み出す

イノベーションを起こす革新的な脱着ボデー車を生み出す

現状を打破するためには、独自性・新規性のあるモデルチェンジが必要

現状を打破するためには、独自性・新規性のあるモデルチェンジが必要

ライバル会社が新製品を発売した驚きと、「挽回しなければ」という想いが、新型の脱着ボデー車「ハイパースイング・フックロール®」の開発プロジェクトがはじまったきっかけだった。建設現場や工場、大型施設などで発生するごみを回収・分別する脱着ボデー車に関して極東開発工業は後発で、すぐれた製品をつくりながらも、シェアは横ばい状態がつづいていた。これまで何度かモデルチェンジを繰り返してきたが、状況が大きく変わることはなかった。そんな時にライバル会社が先手を打って、新製品を発売してきたのだ。
この苦境に立ち向かうため、第二設計課の足立を中心に、横浜工場の設計・製造・営業スタッフによる開発チームが立ち上げられた。

チームはまず、開発コンセプトについて話し合った。この時、すべてのメンバーで共通していたのは、「シェアNo.1になる製品をつくる。その為には、小手先のマイナーチェンジではなく、独自性と新規性のあるイノベーションが必要」であるということ。さらに議論を重ね、“コンテナと車両をつなぐアームの機能性と強度の大幅アップ”というコンセプトを設定した。そして、営業の野島がお客様からヒアリングした要望をプラスすることに。

「ドライバーが運転席から後ろを向いて作業をする時の視界など、細かな改良点を伝えました。こうした小さな改善の積み重ねが、大きな違いにつながるんです」と、野島は言う。

開発コンセプトやお客様の声をもとに、設計スタッフがモデルチェンジの骨子を作成。会社の上層部や各部門の代表者が集まる商品戦略会議で発表し、正式にGOサインが出る。
「ほぼゼロからの開発ということで簡単ではないと思っていましたが、予想を越えていました」 チームを統括する足立がそう振り返るように、この後さまざまな壁が立ちふさがることになる。

開発が大詰めをむかえたところで更なる課題が!

開発が大詰めをむかえたところで更なる課題が!

設計スタッフは骨子に沿って設計図の作成に取りかかった。その際、これまでさまざまな分野・領域から情報収集を行い、あたためていたアイデアも積極的に取り入れることにする。また設計担当の加藤は、より精度の高いアームの制御システムを導入するため、プログラム言語を習得する。さらに、舘田をはじめとする製造スタッフから、工場で製造する時の効率性について、意見を聞くことを忘れなかった。こうした部署間の連携が、クオリティの高い製品をつくる重要なポイントになるからだ。

こうして試作車が完成。設計通りの製品になっているか確かめるため、テストを行う。目標とするスペックに達していないところがあれば改良を加えて、またテスト。この工程を繰り返し、精度を挙げていく。

そしていよいよ、社員の意見を聞く、デザインレビューが行われた。基本的な評価は高かったが、プロならではの厳しい意見も寄せられる。営業サイドからも、追加のリクエストが。これらの意見を参考にして、完成に向けてブラッシュアップしていこうとした時…さらなる課題と、開発計画の見直しという決定が下された。

譲れないこだわり貫くために難題解決に挑戦する

譲れないこだわり貫くために難題解決に挑戦する

それまでプロジェクトチームは、アームの機能性と強度のアップを最優先に開発を進めてきたが、それに“軽量化”というミッションが加わったのだ。脱着ボデー車にはクラスごとに車両総重量が定められており、そこから車両本体の重量を差し引いた重さが、コンテナに積める積載量となる。つまり、車両本体を軽くするほど多く積むことができ、それがお客様の売上に直結するのだ。

ビジネスで製品をつくる以上、お客様が魅力に感じるメリットをつくる大切さは分かっている。しかし、足立にはどうしても譲れない、こだわりがあった。

「軽量化するためにはアームを細くすれば良い。実際、アームをスリム化することが近年のトレンドになっているのですが、私たちはそれよりも強いアームにすることが付加価値につながると考えていたんです」

強度を保ちながら、軽量化を図る。この相反する課題解決に向けて、再びチームメンバーはアイデアを出し合う。この頃には「ライバル会社に勝つ」ということよりも、「自分たちが良い製品をつくり出す」という気持ちに変わっていた。

プロジェクトを通じてチームに信頼関係が生まれる

プロジェクトを通じてチームに信頼関係が生まれる

計画の見直しによって、スケジュール的にも厳しくなってきていた。スタッフの間にも焦りが見えてきたが、そんな時だからこそ、攻めの姿勢を心がけた。

素材の選定や構造のシンプル化など、さまざまな工夫を凝らし、ついに当初の機能と強度を維持しながら目標の軽量化を実現した。展示会にも発表し、大きな反響を呼ぶ。また2015年10月に発売されてからは、お客様からの問い合わせもあり、手応えを感じているという。

「営業からの厳しいリクエストを真摯に受けとめ、カタチにしてくれた設計・製造スタッフのみなさんに感謝しています。自信をもってお客様に勧められる製品になったので、後は私たち営業スタッフが頑張らないといけません」と、これからの意気込みを語る野島。このプロジェクトを通じて、設計・製造部門と営業部門の信頼関係は強くなったという。

「注文を受けてつくられたハイパースイング・フックロールが、車庫で並んでいる光景を見た時は本当にうれしかったです」と、加藤が振り返る。

こうしてプロジェクトは終了したが、真の意味での開発はこれからだと言う足立。「お客様の声をすいあげて更なる改良を行い、広く社会に貢献するはたらく自動車に育てあげていくことが開発に携わった者の使命です」

この使命を達成した時、メンバー全員で祝杯をあげる約束が交わされている。

members

足立大志

設計者になった時、自分を証明するものを残したいと思いました。今回開発した脱着ボデー車は間違いなく、そのひとつになるでしょう。こうした素晴しい製品を、みんなで協力してつくったことに大きな喜びを感じます。これからも改良を重ねて、より良いものにしていきたいと考えています。

加藤祐太

時には激しく意見をぶつけ合うこともありましたが、「良い製品をつくりたい」という同じ目的をもっていたので、信頼関係はさらに強まりました。こうした関わりが、自分の仕事のレベルを引き上げてくれるきっかけになりました。今後もこのようなチャンスがあれば参加したいですね。

野島崇司

お客様の声をメンバーに伝えることで、製品づくりに貢献したいと考えていました。また単に「こうした方が良い」と言うのではなく、「なぜお客様がそう望んでいるのか」を伝えるよう心がけました。今後は多くのお客様に、今回開発した脱着ボデー車を利用していただけるよう頑張ります。

舘田将樹

プロジェクトの立ち上げ当初、脱着ボデー車の性能向上はもちろんのこと、いかに効率的に製造するかいうことを考え、メンバーと検討を重ねたことが印象に残っています。開発プロジェクトに加えていただいたことでモチベーションアップになり、今後のキャリア形成においても活かされると思います。

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