建設現場における打ち込み作業の効率化を目的とした製品の開発プロジェクトです。 現場調査の際に、その作業の過酷さを実感し、配管の敷設作業や先端ホースの操作性の向上に向けた改善に取り組みました。
井上 幹也
2000年入社
特装事業部
生産本部 三木工場 第三設計課
原田 直也
2008年入社
特装事業部
営業本部 コンクリートポンプ営業部 東部営業課
大西 一輝
2015年入社
特装事業部
生産本部 三木工場 製造部 第三製造課 CP・HR組立グループ
礒村 涼
2018年入社
特装事業部
生産本部 三木工場 第三設計課
建設現場では少子高齢化による人手不足が顕著になっています。建設作業における効率化が急務の中、このプロジェクトは高層ビルの建設における効率化を目的とする清水建設様からの要望がきっかけでスタートしました。
これまではコンクリートポンプ車のブーム装置が届かない高層階では、配管の敷設作業など人力での作業が必要でした。配管の敷設作業は、本当に時間と労力を要する大変な作業なんです。
海外では既に機械化が進んでいたんですが、日本では人の力で頑張るという文化が根付いていて。ようやく今、その考え方が変わってきたところなんです。
ただ、海外製品には、設置や打込み階の移動において、ディストリビュータ特有の作業が多く、その作業に不慣れな日本の建設現場ではまだ広まっていなかったんですよね。
そうなんです。日本の建築物の特性や、現場作業員の方々の作業スタイルに合わせた国産機の開発が必要でした。既存のコンクリートポンプ車の技術を活かしつつ、全く新しいものを作り上げるという挑戦だったんです。
開発は本当に手探りでしたね。清水建設様との打ち合わせを重ね、製品の仕様、現場での作業手順や作業性も確認しました。
設計チームは、コンクリートポンプ車での経験を活かしながらも、全く新しい発想が必要でした。特にマストとベースの設計は初めての挑戦でしたからね。
製造現場も大変でしたね。溶接後の軸出しの孔加工ができないので、製造方法の変更や組立時の調整に苦労しました。
加えて、現場での使用を考慮して、グリスアップの方法なども見直す必要がありました。車両とは異なり現場設置後は容易には届かない場所があるため、メンテナンス性も重要なポイントでしたから。
製品が完成してから初めての現場設置では、本当に緊張しましたね。でも、実際に動き始めた時の達成感は忘れられません。
そうですね。設置して試運転までできた時は、一つの大きな山を越えて新たな命を生み出したような感動を覚えました。
製品が完成して、実際の建設現場で使われ始めてからも新しい発見がありました。現場からのフィードバックを受けて、作業性を改善していく作業は今も続いています。
私はコロナの影響で初号機の設置には立ち会えなかったんですが、後で現場の写真を見た時は感動しましたね。タワークレーンとビルの間で私たちの作ったディストリビュータが活躍している姿を見て、「ここから新しいビルができていくんだな」と実感が湧きました。
私たちの役割は、現場の声に耳を傾けて、それを製品という形で応えていくことです。このプロジェクトで得られたノウハウを活かして、これからも建設現場の課題解決に貢献できる製品を開発していきたいと思います。